従業員のモチベーション向上や人材定着を目的として、永年勤続表彰制度の導入を検討する企業は多いでしょう。しかし、記念品の選定や金額相場、税制面での不明点が多いため、導入が進まないケースも少なくありません。
今回は、永年勤続表彰制度の概要や、定番の記念品を紹介します。さらに、導入するメリットや注意点など併せて解説しますので、従業員エンゲージメントの強化の一環として参考にしてみてください。
永年勤続表彰は、福利厚生の一環として、長期にわたって勤続した従業員に対して感謝の意を表す制度です。具体的にどのような制度なのか、導入している企業はどのくらいあるのか見ていきましょう。
永年勤続表彰とは、企業に長い期間貢献してきた社員に対して、その功績を称えて表彰し、感謝を伝えるものです。
日本で永年勤続表彰制度が定着したのは、終身雇用制度が導入されたためです。高度経済成長期には、一つの企業に定年まで勤め上げることが一般的で、20年、30年と長期にわたる勤続が重視される中で、永年勤続表彰制度が広がりました。
表彰される勤続年数は、10年ごととするケースが一般的です。企業によって異なるものの、10年、20年、30年の節目に表彰を行うパターンが多いとされています。
10年以下の短い期間、例えば3年や5年ごとに設定すると、管理に負担がかかりコストも膨らむため、適切な期間設定が必要です。
厚生労働省の2018年の調査によると、福利厚生制度の一環として永年勤続表彰制度を実施している企業は約5割とされています。
一方、2006年に産労総合研究所が実施した永年勤続表彰制度に関する調査では、8割近い企業が実施していました。このことから、永年勤続表彰を実施している企業は年々減少していることが伺えます。
この背景には、転職者の増加が影響しています。転職がキャリア形成の一環と捉えられ、一つの企業に長期間勤めることを重視しない人が増える中で、永年勤続表彰の意義が薄れつつあるといえるでしょう。
また、永年勤続表彰による給付が非課税となる条件が限定されているため、条件を満たさない場合には課税対象となり、従業員に不利益が生じることも制度導入が減少する理由の一つです。
勤続年数が長くなるほど、永年勤続記念品の相場は高くなることが一般的です。長く勤めるほど貢献度も高くなるので、勤続年数に見合った価値の品を贈呈しましょう。
2006年の産労総合研究所の調査によると、永年勤続表彰記念品の相場は以下の通りです。
勤続年数 | 永年勤続表彰記念品の相場 |
---|---|
10年 | 約36,000円 |
20年 | 約75,000円 |
30年 | 約132,000円 |
参考:永年勤続表彰記念品の相場
企業によっては記念品の代わりに賞与を贈るケースや、記念品と賞与を組み合わせて進呈するケースもあります。
永年勤続表彰を導入することで、企業はさまざまなメリットを享受できます。従業員の意識改革にもつながるため、ぜひ活用を検討してみましょう。
ここでは、永年勤続表彰の目的と導入によって得られるメリットを詳しく解説します。
永年勤続表彰を授けられることで「会社に貢献しよう」という従業員の意識向上につながります。記念品を贈り表彰されると、肯定感が高まり自信につながるためです。
モチベーションをさらに高めるには、勤続年数だけでなく、その間の取り組みや達成した成果をしっかりと評価しましょう。従業員が取り組んだ仕事内容や達成した目標をあらためて示すことで、今後ますます貢献したいという気持ちを高められます。
永年勤続表彰は、入社して数年以内に退職する社員を減らす効果も期待できます。特に、贈呈される記念品が豪華であれば、目標に向けて長く働こうという意欲を持たせることができるでしょう。
厚生労働省の2020年のデータによれば、2019年度の新入社員の約3割が3年以内に退職しています。理由は仕事内容や人間関係の問題だけでなく、キャリアアップを目的とした転職も多いようです。
しかし、永年勤続表彰によって先輩社員や上司が表彰される姿を見せることで、若手社員にロールモデルを提供し、離職を抑止できる可能性があります。
永年勤続表彰は、数値化しにくい業務に従事している社員も評価できる制度です。勤続年数が基準となるため、営業成績などに左右されることなく、公平な評価が可能です。
社内表彰制度の多くは、営業成績や契約数などを評価する内容です。業務内容によっては表彰を受けられない従業員も少なくありません。
そのため総務や経理、エンジニアなどの部門の従業員にとっても、この表彰は意義があります。これにより、業務内容が業績に直結するようなものでなくても評価される機会を提供でき、不満の解消や働きがいの向上につながります。
永年勤続表彰を導入する際には、適切な準備が必要です。不十分な運用では、課税などの不利益や制度の運用に支障を来す可能性があります。
ここでは、制度を導入する前に気を付けるべきポイントを解説します。
永年勤続表彰で贈呈する記念品は、一部が所得税の課税対象となる可能性があるため注意が必要です。
【課税対象となるもの】
現金または現金と同等のものは、全額が課税対象です。カタログギフトも、従業員が自由に商品を選べるので、現金を支給した場合と同等であるとみなされます。
ただし、以下の条件を満たせば、記念品の支給や旅行・観劇への招待などは非課税扱いとなります。
【非課税の条件】
なお、旅行券などは金券ショップなどで換金された場合、課税対象となるため注意しましょう。課税されないためには、贈呈から1年以内の使用と、実際に旅行に行った証拠となる資料の提出が求められます。
永年勤続表彰を実施する際は、表彰の対象となる基準を明確に定めましょう。不明瞭な基準では、社員の不満を招く恐れがあります。
主に、以下の項目を決めておくとよいでしょう。
これらの基準は従業員に周知し、認識を統一することが重要です。また、すでに長期間勤めている従業員への対応についても方針を決め、導入時の不満を防ぐ準備をしましょう。
永年勤続表彰制度は一度設定すれば終わりではありません。継続的に運用しなければ、十分な効果を得られません。
例えば、勤続10年で表彰され、その後の表彰予定がなくなると、社員が退職を検討する要因になるかもしれません。また、一度設定した基準の見直しは難しい場合があるため、慎重な基準設定が求められます。
記念品は福利厚生費として計上できますが、内容によって仕入税額控除の対象となるかどうかが異なります。仕入税額控除とは、二重課税を防ぐために、売上にかかる消費税から仕入れにかかった消費税を差し引く仕組みです。
商品券やギフト券、旅行券は「物品切手」に類するものとして、仕入税額控除の対象外となります。一方で、カタログギフトは物品切手に該当しないため、仕入税額控除の対象となります。
商品券、ギフト券、旅行券 | 物品切手に該当する | 仕入税額控除の対象外 |
---|---|---|
カタログギフト | 物品切手に該当しない | 仕入税額控除の対象 |
永年勤続記念品に何を選ぶべきか悩んでいる場合は、次の7つを検討してみましょう。
それぞれのおすすめ理由を解説します。
トロフィーは、表彰記念品として昔から定番です。入手する機会が少ないため、贈呈されたときの喜びも大きく、デスクや自宅でインテリアとして飾ることができます。
特に、クリスタルトロフィーは透明感があり美しく、特別感を演出します。表彰者の名前や社名を彫刻すれば、さらに記念品としての価値が高まるでしょう。
飾り板状のオブジェである表彰楯も、記念品として選ばれることが多い品物です。素材は木・ガラス・プラスチック・アクリル・陶板などさまざまで、銘文や年月日、贈り主や自社名などを彫刻して贈ります。
盾はもともと勇気や勝利の象徴として使われてきましたが、現在では時計が組み込まれたり、写真を入れられるタイプもあり、インテリアとしても実用的です。壁に掛けられるタイプもあるため、スペースを取りません。
トロフィーや表彰楯と同様、メダルも特別感のある記念品です。金箔やプラチナ箔、ガラス製など、さまざまな美しい材質のメダルがあり、リーズナブルなものも多いため、賞与や商品券と合わせて贈る企業も少なくありません。
メダル用のスタンドが付いていれば、飾りやすく、社員にとって永年勤続の証として長く記憶に残るでしょう。
商品券や旅行券は実用性が高く、特に人気のある記念品です。商品券は自由に使える点が魅力で、買い物や食事、体験に使えるため、多くの場面で喜ばれます。
旅行券は、金額が大きい場合に適しています。家族旅行の資金としても活用されるなど、従業員の家族にも喜ばれることでしょう。
金一封や特別ボーナスとして現金を贈るのも一つの方法です。現金は用途が自由なため、従業員の満足度を高めることができます。
賞与を贈る際には、産労総合研究所の永年勤続表彰の相場を参考にするとよいでしょう。
勤続年数 | 永年勤続表彰記念品の相場 |
---|---|
5年 | 約15,000円 |
10年 | 約36,000円 |
15年 | 約37,000円 |
20年 | 約75,000円 |
30年 | 約132,000円 |
この相場を参考にしながら、企業の状況に応じた金額を設定するとよいでしょう。
従業員のこれまでの頑張りをねぎらうために、特別休暇を設けている企業は多くあります。特別休暇は課税や経理の処理が必要なく、また企業の売上にも影響を受けにくいため、取り入れやすいでしょう。
また、特別休暇に加えて、賞与や旅行券を贈るケースもあります。休暇をより有意義に過ごしてもらうための資金を提供することで、従業員の満足度をさらに高めることができるでしょう。
永年勤続記念品には、カタログギフトもおすすめです。トロフィーやメダルに比べて、記念品としての象徴性が薄く感じられたり、現金ほどの自由度はないと考える方もいますが、カタログギフトであれば自分や家族が欲しいものを選べるというメリットがあります。
価格帯も3,000円から10万円まで幅広く、勤続年数に応じた1冊を選べます。さらに、グルメ専門や体験チケット専門といった、カタログギフトのジャンルによって掲載されている商品は異なります。
そうした中から従業員の家族構成やライフスタイルを考慮して選ぶことで、「大切にしてもらえている」と実感してもらえるでしょう。
お祝いの雰囲気を備えつつ実用性も高いカタログギフトは、多くの企業で永年勤続記念品として利用されています。
ここでは、贈り物・カタログギフト専門店「antina gift studio(アンティナギフトスタジオ)」がおすすめする、永年勤続記念品にぴったりのカタログギフトを紹介します。
ベストコレクション <Dahlia(ダリア)>はグルメ・ファッション・テーブルウエア・インテリアなどを網羅している総合カタログギフトです。洗練されたセレクションと多彩なラインナップから選択できます。
「ACTUS(アクタス) ギフトカタログ <Straw(ストロー)>」は、インテリアショップ・ACTUSが選ぶ輸入家具・オリジナル家具・生活雑貨を掲載している1冊です。
ユナイテッドアローズがセレクトした「UNITED ARROWS THE GIFT LIST Aコース」は、特にシンプルなものを好む方に好まれる品々がそろっています。
グルメ雑誌・dancyuの編集部が贈る「dancyu(ダンチュウ) グルメギフトカタログ <CA>」は、おいしいものばかりを集めたグルメ専門カタログギフトです。ご家族と一緒に食卓で楽しんでいただけます。
「ベストコレクション <Peppermint(ペパーミント)>」は、選りすぐりの素材で作られたものや全国各地のグルメ、老舗の味など上質なものを豊富に集めた1冊です。
インテリアショップが提供する「ACTUS(アクタス) ギフトカタログ <Olive(オリーブ)>」は、イッタラ・ボダム・ストウブなどの人気ブランドも選べる贅沢感が魅力です。
「BEST GOURMET(ベストグルメ) e-order choice(カードカタログ) <BG016 ボーヴォー-C>」は、老舗・名店の美味、四季折々のバラエティーに富んだ新鮮食材をはじめ、全国各地の選りすぐりの食材や郷土料理を紹介しています。カードタイプなので、スマートフォンやPCの画面から手軽に選べる点も魅力です。
「DEAN & DELUCA ギフトカタログ <CRYSTAL(クリスタル)>」では、店舗の魅力がそのまま1冊に詰め込まれています。こだわりの食材や魅力的なスイーツ、ハイセンスなキッチン雑貨などが選べます。
「選べるギフト Mistral(ミストラル) <Sable(セーブル)>」では、有名ブランドのインテリアやファッションアイテム、キッチンウエアを豊富に掲載しています。マリメッコ・リファ ・パナソニックなど、信頼性の高い品々を選べる点もポイントです。
永年勤続記念品は、長く勤めた従業員の功績を称えて感謝の気持ちを込めて贈る品物です。モチベーション向上や早期離職防止などの効果を発揮するために、従業員に喜ばれる品物を贈りましょう。
antina gift studioでは、永年勤続記念品にふさわしいカタログギフトや品物を多数ご用意しています。また、ラッピングやのしも無料でご利用いただけます。
贈り物選びにお困りの際はギフトアドバイザーがお手伝いいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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