初盆 (新盆 )法要は、故人が家族の元へ帰ってくるといわれている大切な日です。友人や知人を招いて行われるケースもありますが、参列する人のなかにはマナーがわからず不安を感じている人も少なくありません。
そこで今回は、初盆(新盆)法要に参列する際の基本的なマナーを解説します。必要なものや避けるべきことも紹介するので、初盆(新盆)を迎える前にぜひチェックしてみてください。
初盆 (新盆 )とは、故人が亡くなったあと初めて迎えるお盆のこと。四十九日の忌 明けを過ぎてからのお盆を指すので、四十九日以内にお盆を迎える場合は翌年が初盆(新盆)に当たります。
お盆は、故人の霊を自宅に迎え入れる期間です。初盆(新盆)は故人の霊が生前の家に帰れる初めての機会なので、特別な期間といえるでしょう。初盆は「はつぼん」と読みます。新盆と書いて「にいぼん・しんぼん・あらぼん」と呼ぶ地域もあります。
初盆(新盆)の期間は、全国的には8月13日から16日とされています。一般的なお盆の時期と同じですが、地域により異なる場合もあるので注意しましょう。たとえば、関東などの一部地域では7月盆を主流としており、7月13日から15、16日ごろまでに初盆(新盆)を迎えます。
一方で、旧暦盆を守っている沖縄・関東北部・中国地方などでは、年毎に期間が異なるので事前に確認しておきましょう。
初盆 (新盆 )では、弔事 と同様にいくつか注意したい点があります。まずは、初盆(新盆)法要に参加する際に準備すべきことやマナーをチェックしましょう。
初盆(新盆)では一般的に、喪服や礼服を着用して参加します。施主 よりも格上の服装にならないように注意しつつ、状況に応じた服装を選びましょう。
男性はダークスーツと無地の白シャツ、暗い色の無地のネクタイを着用します。女性は黒のアンサンブル・ワンピース・スーツなどを選びましょう。
案内状にて平服や略喪服の指定があれば、黒・グレー・紺などのスーツやワンピースを着用します。平服とは、正装よりも砕けた略礼装のこと。普段着という意味ではないので、デニム・スニーカー・サンダルなどのカジュアルなアイテムはふさわしくありません。
なお、子どもが参加する場合は、学校の制服を着用させましょう。学生は制服が正式礼服に当たります。制服がない場合は、白いシャツに黒や紺のボトムスを合わせ、落ち着いた色合いでまとめましょう。
初盆(新盆)は故人が帰ってくる日なので、おもてなしの品としてお供え物を用意しましょう。
お供え物は五供 と呼ばれる品物を添えることが基本です。五供とは、死後の世界で必要な品物とされており、香・灯明・花・飲食・浄水の5つを指します。五供の考えに基づき、線香・ろうそく・飲食物・供花などを用意すると喜ばれるでしょう。
初盆(新盆)は暑い時期なので、涼しさを感じられて傷みにくいゼリーや水羊羹、果物などがおすすめです。お供えに適した品物は、以降の項目で詳しく解説します。迷う場合はぜひ参考にしてください。
初盆(新盆)法要で自宅に訪問する際は、お供え物と一緒にお香典も持参することがマナーです。
お香典の相場は3,000〜20,000円程度ですが、生前の故人との関係性に応じて異なります。友人や遠縁の親族であれば3,000〜10,000円程度まで、近親者であれば10,000〜20,000円ほどが平均的です。
準備する際は、汚れや折れジワからお香典を守る袱紗 も必要です。紺・灰色・濃い紫など、お悔やみごとにふさわしいとされる色の袱紗に、お香典を包んで持参しましょう。
お供えやお香典は、お焼香 で故人への挨拶を済ませたあとに施主へ渡しましょう。
法要に招いていただいたことへの感謝とともに「仏前にお供えください」と伝えると、丁寧な印象につながります。断りを入れず仏壇に直接供える行為は、マナー違反なので控えましょう。
お供え物を持参するために使用した紙袋や風呂敷は、渡さないようにしてください。処分の手間をかけないように、中身だけ出して渡します。
初盆(新盆)法要に出席できない場合は、自宅や会場にお供え物を配送しましょう。タイミングは、法要の1週間前から前日までに届くよう調整することが一般的です。
ただし、法要の準備で忙しくしている場合もあるので、可能であれば事前に施主 やご遺族に配送のタイミングを相談しておくとよいでしょう。
初盆 (新盆 )では、掛け紙に入れる言葉が通常のお供えとは異なる点に気を付けましょう。ここでは、初盆(新盆)のお供えの掛け紙や品物を選ぶときの注意点を解説します。
初盆(新盆)のお供えは、表書きに「新盆御見舞」と入れ、結び切りの水引を選びましょう。表書きとは掛け紙の上部に入れる言葉であり、品物の目的を表します。
一般的なお供え物には「御仏前」「御霊前」「御供」などの言葉を入れますが、初盆(新盆)の場合は専用の表書きを入れましょう。
結び切りの水引には、「悲しい出来事が繰り返されないように」という意味が込められています。反対に蝶結びは、何度あってもうれしいお祝いごとにのみ使用する水引なので、選ばないようにしましょう。
水引の色は関東では黒白、関西や一部地域では黄白が一般的です。お供え物が高額なら双銀の水引を使用します。地域によって適切な色が異なるので、風習に詳しい人や親族に確認するとよいでしょう。
初盆(新盆)の準備をするときは、お供えに適した品物を用意しましょう。以下で、五供 の考えに基づいた品物を解説します。
線香やろうそくはお供え物の定番の品です。ろうそくの火は故人が迷わず現世の自宅に帰ってこられるように灯すもの。ろうそくに導かれて帰ってきた故人とは、線香の煙によって通じるとされています。
お供えとして用意する際は、贈り物向けに特別な材料で作られたものがおすすめです。線香は伽羅・沈香・白檀・安息香など、心安らぐ香りが喜ばれるでしょう。ろうそくは蜜蝋や糠などから作り上げたものや、花などの絵を施したものがよく選ばれています。
ご遺族や弔問 客に召し上がってもらいたいという気持ちから、お菓子を選ぶ人も多いでしょう。
個包装されており常温保存できる焼き菓子であれば、すぐに食べられなくても日持ちするのでおすすめです。なかでもクッキー・マドレーヌ・おせんべい・おかきなどの詰め合わせは、好みが分かれにくいでしょう。
初盆(新盆)を迎える時期は夏なので、涼しげなゼリーや水羊羹も喜ばれます。反対に、傷みやすい生ものは控えるのが無難です。
自然の恵みであり、仏壇に彩りを添える果物も喜ばれやすいお供え物です。お下がりしていただくことが多いので、ご遺族が好みそうな果物を選ぶとよいでしょう。
お菓子と同様に、常温で長持ちするものがおすすめです。果物は種類が豊富なので、迷ったら季節を感じる旬の果物を選びましょう。初盆(新盆)を迎える夏であれば、スイカ・メロン・桃がおすすめです。
ただし、曹洞宗 のお盆では桃のお供えは避けられています。桃は故人の魂を退ける果物とされているので、宗派を確認してから用意しましょう。
飲みものは、故人の喉の渇きを潤すために供えられる品です。お菓子と同様に、常温保存が可能で消費期限が長いものを選べば、ご遺族の好みのタイミングでお下がりとしていただけます。
お茶・コーヒー・ジュースなどラインナップが豊富なので、ご遺族の家族構成を考慮したうえで選びましょう。ただし、初盆(新盆)法要の会場によっては、飲料の持ち込みができない場合もあるので事前に確認しておくことをおすすめします。
故人に対する感謝の気持ちを込めて、花をお供えする人も多いでしょう。仏様は香りを召し上がると考えられているので、芳香が漂うお花はお供えに選ばれることが多い品物です。
花を贈る場合は、アレンジメントフラワーがおすすめ。生花の切り花や花束は飾ったり水換えの手間がかかったりしますが、アレンジメントフラワーは置くだけで仏壇に彩りを添えられます。近年では、生花より長持ちしやすいプリザーブドフラワーも選択肢のひとつです。
反対に、棘がある花や香りが強すぎる花は避けましょう。棘は殺生を連想させ、強い香りはご遺族やお参りに来た人が不快に感じる可能性があります。
慶事 を連想するものや故人の好きだった物など、お供えにタブーとされている品物もあります。お供えに避けるべき品物をチェックして、うっかり選ばないように気をつけましょう。
初盆(新盆)は慶事ではないので、お祝いを連想するものは控えましょう。故人の霊が帰ってくることは喜ばしいことと捉える人もいるかもしれませんが、あくまで法要であることを考慮してお供え物を選ぶべきです。
たとえば、鰹節や昆布などの縁起物は、お供えにふさわしくありません。お祝いのモチーフである松竹梅や鶴亀が描かれた品なども避けたほうがよいでしょう。
肉や魚は殺生を連想するので、初盆(新盆)はもちろん日頃のお参りでもお供えに選ばないよう気をつけましょう。とくに仏教においては、足がある動物や生臭い魚を意味する「四つ足生臭もの」は厳禁とされています。
高級な肉類や海産物はお下がりとして喜んでもらえそうと考え、候補に入れる人もいるかもしれません。しかし、お供えには不適切とされているので注意しましょう。
故人が好んでいたものをお供えに選ぶ人もいますが、初盆(新盆)では避けたほうが無難です。故人のことを思い出し、ご遺族が辛い心情になりかねません。
生前に好んでいた食べものや花などは、故人の魂は喜んでくれるでしょう。しかし、故人が愛用していた品物を目にしたご遺族は、家族を亡くした悲しみや寂しさを思い出す可能性があります。
とくに初盆(新盆)は、故人が亡くなってから1年も経過していません。ご遺族の悲しみが癒えていない時期は、とくに配慮してお供え物を選びましょう。
お供え物は、相場の範囲内で選びましょう。高すぎるとご遺族に気を遣わせてしまい、お返しの負担をかけます。一方で、低すぎると失礼にあたるので注意しましょう。お供え物の相場は、3,000〜10,000円ほどです。
故人やご遺族との関係性によって変動するため、縁が深い親族やとくに親しくしていた友人であれば、5,000〜10,000円ほどのものを選びましょう。遠縁の親族や知人、近所付き合いがある間柄であれば、3,000〜5,000円のものがよいでしょう。
香典を別に用意するなら、お供え物の値段を考慮して香典に包む金額を少なくする場合もあります。
初盆(新盆)法要に参列する際は、香典を渡すケースがあります。香典を用意する際に気をつけたいポイントも把握しておきましょう。
香典袋の表書きは、「御供物料」と入れることが一般的です。葬儀では「御霊前」と入れますが、故人の魂が極楽浄土へ導かれたとされる四十九日以降は使いません。
「御供物料」は、宗派を問わず初盆(新盆)で使える表書きです。迷った場合は「御供物料」と書けば問題ないでしょう。
香典は相場の範囲で包みましょう。お供え物の金額と同様に、多すぎるとご遺族に気を遣わせ、極端に少ないとお悔やみの気持ちが伝わりにくくなります。
初盆(新盆)の香典は、3,000〜10,000円が相場です。故人との関係性に応じて、金額は変動します。
故人が実の親や子、兄弟姉妹などの近い身内であれば10,000〜30,000円ほどが相場です。祖父母やほかの親族であれば、5,000〜10,000円ほどを目安にしましょう。
とくに親しい友人は5,000〜10,000円、親交がさほど深くない知人なら3,000円ほどでも問題ありません。故人が仕事関係者の場合は、連名で香典を包むこともあります。縁起の悪い「4」「9」が入る金額にならないように調整しつつ、1人1,000〜5,000円を目安に包みましょう。
初盆(新盆)法要の会食に参加する場合は、プラスして1人3,000〜10,000円ほど追加します。また、宗派や地域によって相場が変動するケースもあるので要注意。迷ったときは地域の風習に詳しい人や、立場が同じ人に相談してみましょう。
故人との関係性 | 金額目安 |
---|---|
親・子・兄弟姉妹 | 10,000〜30,000円 |
祖父母・その他親族 | 5,000〜10,000円 |
親しい友人 | 5,000〜10,000円 |
親交がさほど深くない知人 | 3,000円 |
連名で包む場合 | 1,000〜5,000円/1人 |
ここまでは、初盆(新盆)に参列する立場のマナーを解説しました。自分が遺族に当たる場合は、初盆(新盆)を迎えるための準備を行いましょう。以下で、初盆(新盆)を迎える準備を解説します。
初盆(新盆)を迎える際は法要を行うため、僧侶の手配やお布施 の準備を行います。
まずは法要を行う日程と場所を決め、法要で読経いただく僧侶を手配します。菩提寺 がある場合は、ご住職に相談しましょう。初盆(新盆)法要は自宅に僧侶をお招きすることが一般的ですが、お寺によっては合同法要をお寺で行うケースもあります。
お寺により異なりますが、お布施の相場は30,000〜50,000円です。自宅で法要を行う場合は、お車代として5,000〜10,000円ほどプラスしましょう。
お布施を包む不祝儀袋の表書きは「御布施」と入れます。交通費を別途お渡しするなら「御車代」としてそれぞれ包みましょう。お布施とお車代を一緒に包むなら、中袋に内訳を記入すれば問題ありません。
初盆(新盆)法要の詳細が決まり次第、案内状を準備します。知人や友人を招く場合は、葬儀で記帳していただいた会葬者名簿で氏名や住所を確認し、案内状を発送しましょう。
会食は、自宅・法要館・寺院・料理屋などで行います。料理屋は法事を受け付けていない店舗もあるので、まず法事の予約が可能か確認しましょう。
列席いただくことやお供え物や香典のお礼として、返礼品も準備してください。1,500〜5,000円程度の食品や日用品などが適切です。返礼品は多めに用意しておくと、万が一列席者が増えたときでも対応できます。
初盆(新盆)を迎える前に、盆提灯を用意しましょう。お盆に飾る盆提灯は、故人の霊が迷わず自宅に帰るための目印です。
絵柄の入ったものが一般的ですが、初盆(新盆)では白紋天 と呼ばれる白い提灯を用意することが多い傾向にあります。白紋天は使い回さず、初盆(新盆)で飾ったあとは燃やして処分するのが一般的です。
盆提灯は、故人の霊が入ってくる玄関先に吊り下げます。ただし、窓際に飾ったり、室内用のものを置いたりしても問題ありません。ご遺族の考えや住宅事情に応じて飾りましょう。
初盆(新盆)とは、故人が亡くなり四十九日が明けたあとに迎える初めてのお盆です。一度きりの大切な機会であるため、万全な準備を行い故人を迎えましょう。
初盆(新盆)の法要に参加する際にはお供え物も必要であるため、適切なものを把握しておきましょう。基本的にはお参りのときと同じ品物をお供えして問題ありませんが、初盆(新盆)は亡くなってまだ日が浅いことから、故人のことを過度に思い出す品物は控えましょう。
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