葬儀や法事を執り行う際や弔問に来た人からお供え物をいただくと、お返しが必要なのか悩んでしまうもの。香典のお返しは必要とされていますが、お供え物も同じく準備をしなければいけないのか気になっている人は多いでしょう。
今回は、お供えのお返しが必要なケースと不要なケースを解説します。お返しをする際の基本的なマナーや相場、ふさわしい品物も合わせて紹介するので、お供え物をいただいたときはぜひ参考にしてください。
香典以外のお供えのお返しは不要なケースが多いものの、必要な場合もあります。高価な品物をいただいたときや、葬儀や法事に列席できなかった人からいただいたときは、お返しを用意しましょう。まずは、お供えのお返しが必要なケースを詳しく解説します。
10,000円以上の高価なお供えをいただいた場合は、お返しを用意しましょう。お供え物の相場は3,000〜10,000円ほどです。相場を超える品物の場合は、お返しをすることがマナーとされています。
同じ人物から香典と高価なお供えの両方をいただいた場合は、香典返しとお供えのお返しをそれぞれ準備しましょう。お供え物が10,000円以下の場合は、香典返しのみでよいとされています。
ただし、地域の風習やお供えをいただいた相手との関係性によっては、10,000円以下のお供えにもお返しが必要なケースもあります。お返しが必要か迷う場合は、地域の習わしに詳しい人や葬儀社、親族などに確認しておくと安心です。
葬儀や法事に来られなかった人からお供え物をいただいた場合も、返礼品が必要です。葬儀や法事では列席者をおもてなしする会食の席を設けますが、欠席者は会食に参加できないので、あらためて感謝の品を用意する必要があります。
お返しを渡す際は、後日あらためて自宅に伺い直接渡すとよいとされていますが、遠方に住んでいる場合や予定が合わない場合は郵送でも問題ありません。お礼状を添えると感謝の気持ちが伝わりやすく、より丁寧な印象になります。
お供えのお返しは、全員に返さなければいけないわけではありません。ここでは、お供えのお返しが不要なケースを解説します。
一般的に、現金である香典以外の品物をいただいた場合は、お返しは不要とされています。お供えの品物である飲食物・供花・ろうそく・線香などをいただいた場合は、お返しを用意する必要はありません。
ただし、お供え物をもらったまま何も連絡しないのはマナー違反に当たります。お返しは行わなくても後日お礼状を送り、感謝の気持ちを伝えると丁寧な印象に繋がるでしょう。
前述したとおり、現金の香典をもらっていなくても10,000円以上のお供え物をいただいたらお返しを用意することは変わりません。
相手からお返しを辞退された場合は、お返しは必要ありません。辞退されたのにお返しをしてしまうと、相手に気を遣わせたり失礼に当たったりする可能性があります。
お供え物を用意した相手は、ご遺族にお返しの品を用意する手間や費用をかけてほしくない気持ちから、お返しの辞退を申し出ることが多いもの。
お供え物を用意した相手が、友人たちや同僚の連名だった場合もお返しを辞退されるケースが少なくありません。連名でお金を募った結果、1人が負担する金額が少額だったため、お返しをいただくほどではないと考える人が多いからです。
お返しの品物は不要でも、お礼状は送ることがマナーです。後日、お供え物を準備していただいたことに対する感謝の気持ちを相手に送ると、誠意が伝わります。
お供えのお返しが必要なケースは少ないため、基本的なマナーがわからないと困っている人は多いでしょう。次に、お供えのお返しをする際の基本マナーを解説します。
お供えのお返しは、のし紙ではなく掛け紙を使います。のし紙はお祝いごとの贈答品にかけるときに使うものであり、弔事・法事では用いられません。
のし紙とは、水引の右上部分に熨斗鮑(のしあわび)が描かれた掛け紙のこと。熨斗鮑は慶びをのばす意味があり、古来では吉事の贈り物に添えられていました。掛け紙は、熨斗鮑が描かれておらず水引や表書きのみが印刷されています。
掛け紙の上部に入れる表書きには、「志」と書くことが一般的です。志は「感謝の気持ちを込めた心ばかりのお返し」という意味があり、香典返しでも用いられています。表書きの言葉は地域や宗派により異なるので、迷ったら葬儀社や親族に確認してみましょう。
掛け紙の下部には、施主の名前を入れます。施主と故人が同性の場合は苗字のみで問題ありません。列席者に同じ苗字の親族が多い場合は、施主のフルネームを入れましょう。施主と故人の苗字が異なる場合は、故人の苗字で「〇〇家」と入れることが一般的です。
お供えのお返しを用意する際は、黒白か黄白で結び切りの水引が描かれた掛け紙を選びましょう。黒白や黄白の水引は、弔事や法事に使用される一般的な色です。関東ではおもに黒白を、関西ではおもに黄白を使用します。
四十九日までは黒白、四十九日以降の法事は黄白と、水引の色を使い分ける地域もあるので、地域の慣習に詳しい人や親族に相談してみましょう。
水引がどの色でも、結び方は結び切りを選びます。結び切りは一度結んだら簡単にほどけないことから、悲しみを繰り返さない意味が込められているからです。反対に、何度あっても喜ばしいお祝いごとである出産祝いなどには、蝶結びの水引を用います。
郵送でお返しをする際は、お礼状を添えることがマナーです。手渡しでは直接お礼を伝えられるので不要ですが、郵送では品物のみのやりとりにならないようお礼状も一緒に送りましょう。
お礼状で書き記しておくべき内容は、次のとおりです。
手紙の冒頭に書く季節の挨拶は不要です。句読点や忌み言葉、重ね言葉は不吉な印象に繋がるので控えましょう。
なお、弔電をもらったときも、お礼状を送ると丁寧な印象に繋がります。弔電は一般的にお返しを送る必要はないので、お返しの品を贈ることへの報告はお礼状から省きましょう。
お供えのお返しを渡すタイミングは、お供えをいただいた当日もしくは法要後10日以内です。お供えのお返しは葬儀や法要を無事に済ませたことへの報告も兼ねているため、あまり遅くなると相手を心配させます。
当日にお返しする場合は、2,000〜4,000円程度の一律の金額で、品物を一定数用意しましょう。いただいたお供えが高額で、当日お返ししたものが見合わなかった場合は、10日以内に当日お返ししたものとは別に品物を送ることがマナーです。
葬儀や法要を欠席した人からお供えを送っていただいた場合も、10日以内にお返しを送ります。ただし、地域によってお返しに適したタイミングの価値観が異なるケースも少なくありません。相手に合わせた時期に送るよう心がけましょう。
お返しを用意するときは、いただいたお供え物の1/3から半額程度の品物を選びましょう。
お返しの金額は、いただいた品物の価値の半分程度を返す「半返し」が一般的とされています。たとえば、10,000円のお供えをいただいたら、お返しは5,000円程度のものを選ぶことがマナーです。
半返しの風習は、昔の葬儀から生まれたもの。かつて葬儀にかかる費用の半分は香典で支払うものであり、余った香典はお礼として返されていたことに由来します。
お供え物のお返しは、半返しを大きく上回らないよう心がけることも大切です。いただいたものと同額、もしくはそれ以上の金額のものをお返しすると、遺族に負担をかけてしまったと相手に気を遣わせてしまいます。
なお、当日返しの品を用意したものの、いただいたお供えが高額で当日返しの品では不足する場合があるかもしれません。不足する場合は後返しも行い、お返しの相場に届くよう調整しましょう。
お供えのお返しには、不幸や悲しみを残さない思いを込めて消えものや消耗品を用意することが一般的です。以下では、お供えのお返しに適した品物をいくつか紹介します。
口にするとなくなる食べ物や飲み物は、お供えのお返しに適した品物です。食べ物や飲み物は相手の好みに合わせやすく選択肢が豊富なため、贈り物として選ばれやすいでしょう。
お供え物のお返しとして代表的な食べ物・飲み物は次のとおりです。
なお、食べ物や飲み物なら何でもいいというわけではありません。肉や魚などの殺生を連想するものや、お祝いごとのイメージが強い酒類は適していないので注意しましょう。
食べ物や飲み物を贈る場合は、アレルギーにも配慮しましょう。とくにお菓子はナッツや果物にアレルギーを持つ人もいるので、相手の状況を事前に確認しておくことが大切です。
石鹸や洗剤は「悲しみを水で洗い流す」という意味を持つ品物です。毎日のように使用する消耗品であり、お供えのお返しに適しています。
お返しの品にするなら、スーパーやドラッグストアでは購入できないような高級感がありおしゃれなものを選ぶと喜ばれやすいでしょう。香りや手肌の優しさにこだわったものは、特別感がありおすすめです。
古くからある固形石鹸や粉末洗剤以外にも、ハンドソープ・ボディソープ・洗濯用ジェルボールなども選ばれています。洗い清めるものから派生して、ファブリックミストやバスグッズ、ハンドクリームなどをセットにして贈る人も増えています。
相手の性別・年齢層・家族構成を考慮したうえで品物を選ぶと、相手に喜んでもらえるでしょう。
タオルには「悲しみの涙を拭う」という意味があります。すぐになくなるものではありませんが、使ううちに交換が必要になるため消耗品としてお返しに選ばれている品物です。
タオルを選ぶ際には、落ち着いたデザインのものを選ぶよう心がけましょう。華やかな柄や色は、お供えのお返しというお悔やみごとにはふさわしくありません。
日本の仏事では白装束や白い布を使って故人をお見送りする風習があるため、タオルを贈る際は白がもっともよいとされています。ただし白にこだわりすぎず、アイボリー・グレー・ネイビーなど落ち着いた色合いのものを選んでも問題ありません。
タオルはバスタオル・フェイスタオル・ハンドタオルといくつか種類があるため、金額の調整をしやすい点も特徴です。
近年、お供えのお返しとして人気が高いものはカタログギフトです。マナーに則ってお返しの品物を選んでも、相手が日常的に使用していないものや好みに合わないものは、かえって歓迎されないかもしれません。
カタログギフトであれば、好みやライフスタイルに合わせて、受け取った相手が品物を自分で選べるため失敗を防ぎやすいでしょう。
カタログギフトにはさまざまな種類があり、弔事のお返しに適した総合カタログや、ブランドのカタログギフト、選び抜かれたグルメのみを掲載しているものなどがあります。
カタログギフトはほかの品物と同様に、価格帯ごとにコースが分かれているもの。いただいたお供え物ごとに送り分けも可能なので、お返しの品物選びで迷っている人は候補に入れてみてください。
お供えのお返しに適したものがある一方で、避けるべき品物もあるので要注意。以下でお供えのお返しにふさわしくない品物を解説するので、選ばないように気をつけましょう。
肉や魚は殺生を意味し死を連想させるので、お供え物のお返しに贈るのは控えましょう。地域によっては忌明けとなる四十九日まで、肉や魚類を控えるところもあるので注意が必要です。
ただし、お供え物のお返しに選んだカタログギフトに肉や魚が載っていても、マナー違反には当たりません。お返ししたものはあくまでカタログギフトであり、肉や魚ではないからです。
受け取った相手が、カタログギフトのなかから肉や魚を選んでも問題はないとされています。
お供え物のお返しはあくまでお悔やみごとであるため、お祝いを連想するものは適していません。お祝いごとに用いられる品物を贈ると、不謹慎と捉えられる可能性もあります。
たとえば「喜ぶ」に繋がる昆布や、夫婦円満の象徴である鰹節は結婚のお祝いに頻繁に利用される縁起物です。ほかにも、うさぎ・鶴・ふくろう・松竹梅・富士山など、縁起がよいとされる動植物やものもありますが、いずれも不祝儀には適していません。
お返しの品を包む包装紙の色や柄にも注意する必要があります。紅白や金色、鮮やかな大輪の花柄は避け、寒色系などの落ち着いたものを選びましょう。
お祝いごとに用いられることが多い酒類も、お供え物のお返しに不向きです。仏教では不飲酒戒という戒律があり、酒類を飲んではいけないことを意味するため、仏式ではとくにお酒を贈るべきではないとされています。
ただし、贈る相手が親しい間柄でありお酒を好む人である場合は、問題ないとされています。相手との関係性や嗜好を考慮したうえで、喜びそうなものを選びましょう。
肉類や魚類と同様に、お酒が掲載されているカタログギフトを贈ってもマナー違反には当たりません。
お供えのお返しに、現金や金券を贈ることはマナー違反とされているので控えましょう。現金や金券は相手にはっきりと値段がわかってしまうので、恐縮される可能性があります。
さらに、目上の人に現金を渡すのはマナー違反とされているので、お返しにはふさわしくありません。
親族間で「お返しは現金や金券にする」という取り決めがあったり、親しい間柄で相手から要望があったりする場合は、例外として現金や金券を贈っても問題ないでしょう。
現金や金券のように使い勝手のよいものを贈りたいと考えるなら、カタログギフトがおすすめです。マナー違反にあたらず、相手が自由に品物を選べます。
10,000円以上の高額なお供えや、葬儀・法事に欠席した人からお供え物をいただいたら、お返しを用意しましょう。
お返しは香典返しと同様に手渡しをするか、お礼状を添えて郵送することがマナーです。法要後は慌ただしいものですが、10日以内に贈るのが望ましいでしょう。
お供え物のお返しに適切な品物は、消えものやカタログギフトです。いただいたお供え物の1/3から半額程度のものを選んで贈りましょう。
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